象牙化すると非常に音が良くなると聞いていて気になっていた。
今回手に入ったので、エレアコのサドルとナットを象牙化してみた。
目次
TUSQ化した感想
前回でサドル・ナット・エンドピンをTUSQ(人工象牙)にした。
非常に鳴るギターになって大満足なのだが。
若干キンキンした音というか。若干硬い音な気がする。
でも元々付いていたプラスチックのから比べると雲泥の差なのだが。
ネットでもYoutubeでも大絶賛の象牙に非常に興味があり、今回素材が手に入ったので自分で作ってみた。
象牙について
ネットを見てると勘違いしてる人が多い気がするが。
象牙はご存知の通り、1990年のワシントン条約の元、国際取引は原則禁止になった。これはアフリカゾウが絶滅危惧種に指定されたからだが。
経済産業省のサイトを見れば分かるが、例えば自然死したアフリカゾウの個体から集められた象牙は、現在でも厳密に管理されて日本に輸入されている。
で、あらかじめ登録された事業者は象牙製品を取り扱うことは許可されている。
「じゃ何でギターメーカーは象牙を使わないんだ!?」と思うかもしれないが。
多分だがブランドイメージだと思う。
このご時世、絶滅危惧種に指定されている象牙を使っていたら企業イメージが悪くなる。
それかメーカーが安定供給する程の数を確保できない、という理由かも。
多分そんな感じ。
何度も言うが認可された事業者から購入するのは問題無い。
売上は輸出国の貴重な収入源になっている。
ナットを削って成形
話を戻して、まずはナットから。
ナットの形だが、一昔前までは先(上部)が尖ってるのが一般的だった気がするが。
最近のマーティンやモーリスのルシアーメイドとかは、ほぼ長方形というか。
弦との接地面が広い気が。
元々付いていたナットと同じ形に
ただ、よく分からないしフレットとの兼ね合いもありそうなので、元々付いていたプラスチックのと同じ形にすることに。
シャープペンで印をつけて、紙やすりの#120で削っていく。
んで、形が決まったら#240→#320→#400→#600で表面を綺麗にしていくのだが。
この過程でも結構削れるので、最終形よりも若干大きめにしないと意図せず小さくなるので注意が必要。
で、最終的に液体コンパウンド#3000→#4500→#9000でピカピカに。
コンパウンドで磨くと高級な象牙の印鑑のような艶が出る。
ナットの溝切り
これも位置は最初に付いていたプラスチックのナットの溝と一緒にした。
ただ現物だと厚みがあって上手く溝を合わせられない。
なので真横から写真を撮ってフォトショで左右反転して原寸大でプリントアウト。
(上の画像だと真ん中が反転させてプリントアウトしたものを切り抜いたもの)
それを象牙のナットに貼り付けて位置決めした。
この方法が一番忠実に再現できる。
サドルを削って成形
今回はブリッジの形に合わせてピッタリにしたかったので、まずはピッタリ入るように削る。
サドルも大まかなラインは元々付いていたサドルを参考に削る。
この弦との接地面が広い段階で、試しにギターに装着して音を出してみたが。
全然鳴らない。
やはりサドルに関しては弦との接地面は狭く(細く)しないとダメっぽい。
(本当はここからオクターブ調整するつもりだった)
オクターブ調整
んで今回の主な目的でもあるオクターブ調整。
これを是非ともやってみたかったのだが。
12フレットにカポをはめてチューナーで1オクターブ高い音でチューニングが合ってるか見るのだが。
カポをしっかりはめると当然テンションも高くなるので音も高くなる。
が、手で軽く押さえて音を出すとちょうど良い。
結局のところ、どこで合わせれば良いか分からないし、そもそもで俺は12フレットとかは使わない訳で。
オクターブのチューニングなんて気にする必要はないのでは?という結論に達した。
TUSQのストックのサドルと同じ形に
ということで、サイレントギターのサドル用として購入したTUSQのサドルと同じ形にすることにした。
(試しにこのサドルでオクターブチューニングしてみたが、ほとんど狂いは無い)
まずは大まかにシャープペンで線を書く。
んで#120の紙やすりで大まかに成形。
最終的にコンパウンドで磨くと既製品のような見事な仕上がり。
自分で言うのも何だが、こういうのやらせると抜群に上手いよな、俺って。
ギターに装着
んでギターに装着。
ナットはピッタリに成形したので特に接着剤は必要無い気もするが。
一応木工用ボンドで指板側のみ、ほんの少しボンドを付けて装着した。
下の部分ヘッド側は比較的柔らかい木材なのでボンドで接着すると今度外す時に木が剥がれる。これを防ぐ為にボンドは付けなかった。
あと木工用ボンドだと、次回交換する時、ウェットティッシュで簡単にボンドが落とせるのが良い。
(しっかりとしたボンドだとヤスリで削って平らにしないといけないので手間)
3フレットを押さえて1フレットと弦の隙間を見ると6弦側が若干広い気が(紙1枚分くらいの隙間が理想らしい)。
もう少し削って低くした方が良いかも。
ただこの自分で削ったナットとサドルを装着すると愛着が更に増す。
細かいことではあるが、実質世界で1台しか無い訳で。
元々バイトして最初に購入したギターなので、本当に宝物になった。
安物だが、値段は関係無い。
もう絶対に手放したくない。
試奏
で、待ちに待った試奏。
もう全く別のギターのような鳴り。
TUSQのようなキンキンした感じも全く無い。
素直な音。
そしてサスティーンが長くなって気持ち良い。
抜けが凄く良くなった。
まぁとにかく良く鳴るギターになった。
正直、まさかここまで化けるとは思わなかった。
下手な10万台の新品ギターより、よっぽど良い音じゃないだろうか。
フィンガーピックだと、どの音も1音1音がしっかり鳴る。
ストロークはストロークで気持ち良いほど、よく鳴る。
『これで良いか』と思っていたが。
象牙化して『これが良い!』になった。
もう完全に手放せないギターになった。
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